第121話  「審判なき罪」





殺人事件を起こした工員・井口 登・23歳の判決が言い渡された。懲役8年、有罪。田舎から出てきた口下手な真面目な青年だった彼は、同僚たちに馬鹿にされたために魔が差して事件を起こした。そんな人物の不運な事件だけに、担当した山村刑事(露口 茂)にはその判決を聞くことに気が重かった。

裁判所から帰った山村刑事に早々事件の知らせが入り、現場に急行すると拳銃に撃たれた被害者・片岡幸吉は、以前山村刑事が強盗障害で逮捕した男だった。被害者片岡の現在の生活は慎ましく、近所、勤め先の評判も良い。昔の仲間とつるんでいる様子も無い。服役中も模範囚で、自分の罪を完全に清算しているようだった。

幸い片岡のケガは軽く、数日後病院を退院。しかし片岡に前科があることを知った世間の対応は冷たかった。片岡に好意を持っていてくれたアパートの住人たちの対応は突然冷たくなり、勤めていた会社でもクビを宣告された。そんな片岡に山村刑事は、よく耐えたと励ましの言葉を贈った。

ところが片岡と別れたとたん、その片岡が再びオートバイを乗った男に襲われた。何かを察した山村刑事は帰って行った片岡を追いかけ間一髪片岡を助けたものの、男はオートバイを乗捨て逃走していってしまった。オートバイは盗難車で、手掛かりは発見されなかった。

片岡には全く心当たりが無い。また犯人は片岡を殺せる状況でありながら、あえて的を外していた。そんな中片岡は、住んでいたアパートの荷物を引払い何処かに雲隠れしてしまった。

片岡は労務アパートに隠れていたが、そのアパートの労務者が片岡にいちゃもんをつけて暴力を振るってきた。片岡を発見したテキサス(勝野 洋)らに助けられたのだが、その労務者も10万円で若い男に片岡をいたぶるように頼まれたのだと言う。山村刑事の計らいで片岡は安全なアパートに暮らすことになり、追い詰められていた片岡は、刑事たちのその優しさに涙した。

そんな時、山村刑事に一本の電話が入った。服役中の工員・井口が刑務所内で自殺未遂をしたと言う。命は助かったが、自殺するする上で山村刑事に残した手紙を読んで愕然とした。

刑事たちは狙われている片岡が過去に起こした犯罪の被害者を一件一件調べていった。山村刑事は自分が片岡を逮捕する結果となった事件の被害者・吉田洋品店に、当時小学生の一人息子がいることを思い出した。