第111話    「ジーパン・シンコ その愛と死」





新宿の街。ジーパン( 松田 優作)と石塚刑事(竜 雷太)がチンピラ風の男を追っている。男は拳銃を握っている。空き地で追い詰められ、ジーパンに銃口を向けるがひどく脅えている。
「撃てよほら! 撃ってみろよ!」
ジーパンは詰め寄るが男は撃てない。一瞬のスキをついて男の拳銃を蹴り上げる。押さえつけ殴り上げるが、脅えた表情に拳が止まってしまう。後から来た所轄の警官に男を引き渡す。しかし、その現場を見ていた不審な車があった。

ジーパンはシンコ(関根 恵子)を連れて宝石店に行く。婚約指輪をプレゼントするためである。店員に相手の誕生石を送るのがいいと勧められ、シンコの誕生石であるダイヤモンドを見るが値段のケタを間違えて恥をかく。唐突に求婚されたが、いつそう言ってくれるを待っていたシンコにとっては本当に嬉しかった。しかし、シンコの父がこの話しに反対すると言う。許しをもらいに行く二人だが、案の定、断られてしまった。

そこへ藤堂係長 ( 石原裕次郎)から電話が入り、昼間ジーパンが捕まえた男が護送中に同乗の警察官を射殺して拳銃を奪い逃走したというのだ。男は会田 実という。ジーパンは会田の過去を調べ、そして、会田には婚約者がいたことを突きとめる。たが、その女の身勝手な裏切りを知り、複雑な気持ちになるジーパンであった。

署に戻ると山村刑事(露口 茂)と藤堂係長が、会田がこのような犯行に及んだのは逮捕の際ジーパンがひどく殴ったために常軌を逸したのが原因だと所轄の警官が言っていると話していた。しかし、ジーパンはひどく殴ったりはしていないのである。

翌朝、ジーパンは母親にシンコにプロポーズしたことを告げる。出署すると一係のメンバーは皆、ジーパンのプロポーズを知っていた。宗吉が藤堂係長宛てに断りの電話を入れていたのであった。

そこへ山村刑事が戻ってきた。そして会田の後ろに竜神会という組織が動いていること、また会田が前岡というチンピラと付き合っていることを報告する。

ジーパンは石塚刑事の前岡のアパートを捜索し、二人がつるんでいることを確かめる。ジーパンは言う。警官殺しは会田ではない。ジーパンに捕まる時、震えていた男にあんなマネは出来ないと。警官を殺したのは竜神会ではないか?。竜神会は会田と前岡を使って何かをさせるつもりだったのではないのか。石塚刑事もジーパンの推理に同意した。

その時、会田と前岡がスーパーマーケットを襲っているという連絡がはいる。二人は現場に急行し、逃げる会田を説得しようとしたが失敗した。後から来た山村刑事にジーパンに言う。
「山さん、犯人を人間としてみるって事は・・・、臆病になれってことなんですか?。」

ジーパンはシンコに会田を撃てなかったことを話す。しかしシンコは「間違っていない。」と慰めてくれる。一方、藤堂係長も宗吉に「親父」としてジーパンの成長を見守ってほしいと話していた。

藤堂係長のデスクに会田から電話が入る。会田はジーパンに助けを求めてきたのだ。竜神会は仕事を終えた二人を殺しにかかってきたからである。会田はジーパンが一人で来てくれれば自首するという。しかし、会田は竜神会の子分に見つかり拉致されてしまう。

竜神会に捕まった会田をジーパンと石塚刑事が追う。しかし、石塚刑事が妨害にあいハンドル操作を誤り、ケケをしてしまう。ジーパンは単身で竜神会一味を追う。

やがてジーパンは連れて行かれる会田を発見。しかし、会田はスキを見て逃げ出す。会田を誘導するジーパン。竜神会との激しい銃撃戦が始まった。会田は恐怖におののいている。必死に戦うジーパン。自分も左腕に傷を負う。しかし決死の覚悟で立ち向かい、ついに敵を倒した。

ホッとして片隅で脅えている会田に近づくジーパン。その時である。あまりの恐怖に見境がなくなっていた会田は、自分の近くに転がっていた竜神会の子分の拳銃をジーパンに向けて発作的に発砲したのである。茫然とするジーパン。会田は叫びながら逃げていく。
「どこへ行くん会田、ちょっとまってくれよ会田。」
自分の腹に手をやるジーパン。手に付着した血を見て叫ぶ。
「なんじゃこりゃ!。」
崩れるジーパン。
「おらぁ死にたくないよ、死にたくない、死にたくないよ・・・。」
涙がボロボロ流れてくる。ジーパンはポケットの中からタバ゛コを一本取り出して口にくわえた。だが、火をつけることは出来ずタバコはジーパンの口元から静かに倒れていった。

翌朝、シンコと宗吉が楽しそうに話している。そこへ、藤堂係長から電話が入る。
「もしもし・・・、あら、ボス。おはようございます・・・。ボス、なにか・・・。」
たが、無言の藤堂係長に何かを察知したシンコは息が詰まった声で「ボス・・・。」と呟くのであった。