第87話  「島刑事 その恋人の死」





その日、島刑事(小野寺 昭)は久し振りに恋人・朝江とのデートを楽しんでいた。二人は結婚を決意し、幸せの絶頂であった。しかし刑事という因果な商売を仕事にしている島刑事に、のんびりした時間は与えられなかった。デートの最中でも事件が発生したら現場に急行しなくてはならない。そしてこの日のデートの最中も、島刑事に緊急の呼出しが掛かった。

現場では男が拳銃で胸を打たれて死んでいた。被害者の財布は荒らされた形跡がなく、物取りでない計画的な犯行と推測された。また発見された時には息があり、頻りに「タツ」と叫んでいたという。医師の検査の結果、最近どこかで歯の治療をした痕跡も残っている。数少ない手掛かりを元に、一係は捜査を開始した。

一方、呼出しでデートが中断してしまった島刑事の恋人・朝江は、今晩疲れて帰ってくる島刑事に夕食をもてなそうと、アパートへ帰るがてら買い物を楽しんでいた。しかし見通の悪いT字路を差し掛かったところ、猛スピードで突っ込んでくる車に撥ね飛ばされてしまった。

連絡を聞いた島刑事は急いで彼女の運ばれた病院に向かったが、病院に着いた時には既に彼女は息を引き取った後だった。

島刑事は自ら哀しみを乗り越えようと仕事に復帰し、誰もが気にするぐらい人一倍仕事に打ち込んだ。朝早くから夜遅くまで・・・。また藤堂係長( 石原裕次郎)や山村刑事(露口 茂)も、まだ逮捕されていない島刑事の恋人・朝江のひき逃げ犯人が逮捕されていないことを気にしていた。そんな中、その島刑事が、ようやく拳銃で殺された被害者の身元を調べ上げてきて捜査は一歩進展した。

被害者は工場を経営している社長で、事実を知った婦人は泣き崩れ、決して恨みを買う人間ではないという。被害者は新しく購入する機械の代金を用意するため、銀行へ出かけたその日に殺されたらしい。また「タツ」という言葉からその工場の従業員に白井達之という男が勤めている事が判った。その日は無断欠勤をしている白井の所在を突き止め、島刑事は白井を緊急逮捕した。

翌日、山村刑事の取り調べにも白井は口を割らなかったが、ジーパン( 松田優作)が家宅捜査をしたところ、白井の家から盗まれた500万円の内、300万円の現金が発見された。証拠を突き付けられた白井は観念し、戸川組組員である西池 修とともに殺害を企て現金を奪った事を認めた。また白井の供述で、その日の12時に白井は西池とともに待ち合わせをしている事が判明した。

現場には白井の供述通り西池が現われた。島刑事と石塚刑事(竜 雷太)の姿を見た西池は逃走を図り、またまた通りかかった女性を人質に刑事たちを威嚇した。石塚刑事からの現状の報告で藤堂係長は仲間が現場に急行するまで待機を指示、しかし島刑事は単独で犯人の元に向かっていった。捜査に熱中していた島刑事だが実はやけになっていたのだ。西池の拳銃が島刑事を襲う。間一髪石塚刑事の拳銃が西池の拳銃を弾き飛ばし無事西池を逮捕したものの、命を粗末にしたその行動に藤堂係長は島刑事を殴り飛ばした。

無事殺人事件は解決した。またその時、島刑事の恋人・朝江をひき逃げした犯人も判明した。藤堂係長はその犯人の逮捕へ向かうよう島刑事に指示をするのだった。
(うら ばなし)

島刑事の恋人役になったばかりに、たった2回のセミレギュラーとなってしまった恋人の朝江。当時の殿下人気は相当なもので、朝江は「さよならは言わないで」で第一回目の登場を果たす。ところが殿下ファンから殿下に恋人がいるなんて許せないとの苦情が番組に殺到、その為今回の話で朝江は事故死させられてしまったのである。なんともファンの力は恐ろしいものであり、この役を貰った「有吉ひとみ」は可哀相なものですね。
この為か、一度セミレギュラーで登場していた人がまた別の役でセミレギュラーとなって登場してしまった「有吉ひとみ」。ボギーの姉役で二度目の登場となっている。スタッフも気を遣ったのでしょうか?。