第86話  「勇気ある賭け」





数年前、拳銃を乱射し市民数人の犠牲者を出しながら藤堂係長( 石原裕次郎)が逮捕した拳銃密造犯人・青木俊夫が、密入国し国内に帰ってくる事が山村刑事(露口 茂)の情報屋筋から判った。藤堂係長は青木が入国すると見られる港の所轄へ向かい情報の確かさを確認、麻薬捜査以外認められていない潜入捜査をする事を決意、ジーパン( 松田 優作)をおとり役にする事にした。

早速ジーパンはおとり捜査を開始し青木から拳銃を買おうと模索する、そして日南商事という貿易会社が、翌日入港するオリエンタルパーク号で拳銃を密輸、同じ船に青木が潜伏している可能性が出てきた。情報を聞きつけたジーパンに、藤堂係長は「役目が終了したから港から姿を消せ。」と命じるが、ジーパンはこのまま捜査を続行するという。ジーパンの命の危険を感じて捜査を止めさせようとする藤堂係長にジーパンは、「その時はボスが助けに来てくれるでしょう。」と、再び港に姿を消していった。

翌日、オリエンタルパーク号が入港し、青木らしい男が船から飛び出してくると止めてあった船に乗りこみ逃走を開始した。付近を張っていた一係の刑事たちが青木を追うが、なんと刑事たちが追っていた相手は青木自身でなく青木の替え玉であった。そして翌日、船の情船員の一人が天然痘に掛かっている事が判明した。同じく乗船していた青木が天然痘に感染している可能性が出てきた。事態は急展開を要した。
警視庁は、青木が感染したいた場合に発病する72時間以前、24時間以内に青木を捜し出し逮捕するよう藤堂係長に命じた。しかも射殺もやむを得ず、すべて藤堂係長の責任で行えと・・・。

日南商事は、常に拳銃密輸の容疑を掛けられながら今だ摘発される事も無く、捜査の過程で必ず裏の圧力が掛かっている事が判明、藤堂係長はその圧力の存在に興味を示すが、山村刑事の調べによるとその黒幕は、"箱根の人"と呼ばれる政界の黒幕である事が判った。藤堂係長はその大物に一歩もひるむ事に無く箱根に面会に押し掛け、青木俊夫を引き渡せと要求するのだった。

その晩、箱根の人は藤堂係長の自宅に電話を掛けてきて、青木を引渡す代わりに最近日南商事に潜入している刑事の正体を教えろという。藤堂係長は当然それを拒否するが、青木が都内を歩き回って大勢の市民が天然痘に感染する事を考え、箱根の人の提案に乗る事を承諾する。そして藤堂係長は極秘で日南商事と取引し青木を逮捕、自ら自分の部下であるジーパンの身元を日南商事に明かすのだった。

翌日、ジーパンが港から姿を消した。そして藤堂係長も一係から姿を消した。青木が発病していれば72時間以内に死亡しジーパン救出の手掛かりが無くなる。残された時間は後一日、苦悩する藤堂係長は一人でジーパンの行方を捜す手掛かりを求めて港を歩く。

その頃、一係の刑事たちも休暇願いを署長に提出し、港へ向かい捜査を開始した。そして山村刑事は自分が天然痘に感染する事を覚悟で病院に入院中の青木の元に乗り込んでいった。
(うら ばなし)


今回の話の話は七曲署捜査一係で数少ない未解決事件のひとつ。そしてこの“箱根の人”は「第135話=ある敗北」にも登場するが、追い詰めながらも結局、逮捕することが出来なかった人物である。