第59話  「生命の代償」





仕事帰りに、ジーパン(松田優作)を誘って酒場の店先に立ち寄った野崎刑事(下川 辰平)は、そこで一人の中年サラリーマンに目を止めた。刑事独自のカンで、その男の様子にただならないものを感じた野崎刑事は、こっそりと一人でその男の後を尾行した。すると野崎刑事のカンは的中、その男はビルの屋上から飛び降り自殺をはかろうとした。力ずくで押しとどめた野崎刑事に、男は「余計な事をしてくれた」と口走って雑踏の中に姿を消して行った。

男ともみ合った時に落ちた男の遺書から、男の名は井村太一、東部物産輸入第二部係長と判明した。井村を気にする野崎刑事は藤堂係長(石原裕次郎)に事情を説明し、しばらく井村をはる事にした。そんな野崎刑事の気持ちも知らず、井村は張り込む野崎刑事の目の前で再び自殺を図ろうとし、そして阻止されるのだった。

一方、警視庁は、七曲署とは別に東部物産の数十億にのぼる使途不明金について捜査をしていた。そしてそんな中、経理係長である井村はその重要参考人として呼ばれ、取り調べを受けた。

夜間大学を卒業し、うだつがあがらないまま定年を迎えよううとしている井村は、残された妻子の生活を一生保証するという条件で、会社の使途不明金の罪を一人ですべてかぶり、そして自殺する事になっていたのだ。警視庁の厳しい取り調べも黙秘権を行使、釈放されて家に帰った井村は、「汚職する親父なんかいない方がマシだよ」と息子の厳しい言葉に激しいショックを受ける。

そして自分一人が会社の犠牲になるのはまっぴらゴメンと考えはじめ、井村は執拗に自殺を迫る会社の幹部を逆に「すべてを公開する」と脅迫するのだった。