第53話    「ジーパン刑事登場」





高級住宅街のある屋敷でそこの若い奥さんが何者かに射殺されるという事件が起きた。現場に急行した七曲署の刑事たちは犯行に使用された拳銃が警官用の拳銃であることにこあそ愕然とする。厄介な事件であるうえに、マカロニ(萩原 健一)が殉職したあとの人手が足りない時でもある。

山村刑事(露口 茂)は、藤堂係長( 石原裕次郎)に今度捜査一係に配属されることになった刑事について尋ねた。藤堂係長の話によると、その刑事がくるのは明日になるのだが、彼はまだ新米で即戦力にならないという。それよりも、残り4発の弾丸が次の犯行に使われる前に一刻もはやく犯人を逮捕しなければならない。刑事たちは犯人の足取りを追うため、捜査を開始した。

あくる日の朝、一係の部屋に署内の警官が訪ねてきた。昨日無銭飲食で留置場に入れられた男が、この名七曲署捜査一係に配属されたという辞令を持っているが、それは本物なのかという話だった。ジーパン姿のその男・柴田 純( 松田 優作)は、昨日刑事になった祝に友人と飲み明かして、金が無くなってしまい、七曲署の留置場に入れられてしまったのだった。そんな話に、一係のメンバーも呆れ顔だ。そして、その身なりから石塚刑事(竜 雷太)は彼をジーパンと名ずけ、仲間からそう呼ばれる事になった。たが彼は、なぜか藤堂係長の拳銃所持の命令を頑なに拒むのだった。

第2の犯行が行なわれた。デパートの地下駐車場で若い女性が同じ拳銃で射殺されたのだ。

そうした中、聞き込みの途中で石塚刑事とジーパンは不審な男を追い詰めた。男は拳銃を持っていたが、ジーパンは丸腰で立ち向かった。その男は震えながら引金を引いたが、彼の拳銃は手製の物だったため弾は発射されず暴発してしまい男の手は血に染まった。取り調べの結果、その男は犯人ではなく、拳銃は犯罪に使用されたものではなかった。いくら事無きを得たからといっても、拳銃が本物であったら血まみれになっていたのはジーパンの方であり、石塚刑事はジーパンの無謀なやり方に閉口する。

続いて第3の犯行が起った。今度の犠牲者は、貿易会社の社長令嬢である。捜査の結果、刑事たちは遂に、三人の犠牲者はみんな同じテニスクラブの会員である事を突きとめた。ジーパンとシンコ(関根 恵子)は自らかって出て、テニスクラブに潜入する。そして、容疑者としてそのテニスクラブの会員のプレイボーイの大学生に目をつける。たが、石塚刑事の調べでその大学生は犯人でないと判った。

そんな時ジーパンは、コートの外からテニスをプレイする人達を恨めしそうに見つめていた不審な男の話をする。そして、自分が似たような経験を持っている事をみんなに話し始めた。警官であった父親が殉職して自分と母親が苦労している時、それとはまったく関係ない人達がいることを恨めしく思い、やはりテニスコートを見つめていた頃があり、もしその時自分が拳銃をもっていたら彼等を撃ち殺していたかも知れないとジーパンは言うのだ。

ジーパンの父親は警察官であったが、一般市民に接する警察官には拳銃など必要でないという信念から拳銃をいつも所持していなかった。たが、それが命取りとなって殉職したのだ。ジーパンは拳銃を所持していなかったことに対して色々と誹謗中傷された父の正当性を自らをもって証明しようとしているのだ。

ジーパンの調査で、例の男は、犯行が行われた日に勤めを休んでいることが分かり、家宅捜査が行なわれた。その結果、部屋の中から犠牲者の写真と、カメラの中のフィルムより第4の犠牲者と思われる女性が現われた。山村刑事たちは男の勤め先へ向かったが男は休みでいなかった。

ジーパンは急いで例のテニスクラブに向かった。すでに例の4人目の女性がプレイをしているところで、男は会員になりすましコート内に入っていた。そして近づいてきた彼女に銃口をむけた。だが次の瞬間ジーパンは犯人めがけて走り出した。男は慌てて逃げたが、追い詰められて遂に、ジーパンに銃口をむけた。

逃げ腰の犯人は無我夢中で引金を引いた。弾丸はジーパンの手をかすめただけであり、彼は一気に犯人めがけて飛びかかるのだった。

その男は、ジーパンの思った通り、自らの不遇な身の上に比べてテニスコートの人間を妬ましく思い犯行に及んだのであった。

どうやら事件は解決し、「親父さんのいい供養になったな。」と藤堂係長はジーパンの肩を軽く叩くのだった。
(うら ばなし)

ジーパン刑事こと、松田優作の身長は185cm。当時としてはかなり大きく、新米刑事に決ったものの、彼に着させられるような既製の衣装がなかったそうです。そこでスタッフが上野アメ横で買ってきたのが、輸入物外人サイズの、ジーンズシャツとジーパン。そしてそのまま新米刑事のニックネームも、「ジーパン刑事」に決ったという訳です。

 上の写真は、「第35話 愛するものの叫び」にパイロット出演していたものです。優作の上着の袖口に注目!。短くて、ワイシャツの袖口が丸々はみ出ています。

 予談ですが私・CHOKUNも、当時中学生で身長181cm。もちろんジーパン刑事に憧れて、優作と同じ185cmになりたいと願っており、現在は185cmになっています。