1997.7.18(金)  「七曲署捜査一係」




放映開始25周年記念特別企画




松井陽平(浜田 学)は今春七曲署に配属されたばかりの新人刑事。
今日も、たまたま訪問した元七曲署刑事の野崎太郎(下川辰平)を大先輩と知らず、その無礼なもてなしを刑事長の大高道夫(石橋蓮司)に叱られている。新係長の山岡英介(館 ひろし)のもとには、かつての七曲署の刑事たちに勝るとも劣らない個性的なメンバーが集まっていた。

射撃の名手だが夫には逃げられた主婦刑事・島田涼子(多岐川由美)。
柔道の達人で健康マニアの菅原 徹(小西博之)。
携帯電話で女友達の対応に追われっぱなしの青井宗吉(中村繁之)。
それぞれがクセのある刑事だが、正義を求める心は誰にも負けなかった。
そして事件発生の電話で部屋を飛び出す刑事たち。その様子を見て野崎は、今は山岡が座っている捜査一係長のデスクに向かって語りかけた。

「ここは相変わらず忙しそうですねぇ、ボス。」

そんな夏のある夜、所轄内の自動車整備工場で火事が発生。現場に向かった陽平の目の前でOLの由香が火の中に飛び込み、焼死した。陽平は由香を救えなかったことを悔やむ。検証の結果、火事の原因は由香の父親・静雄が焼身自殺を図ったことであることが判明した。静雄は町金融から借金を重ね、暴力団・響総業の悪質な取り立てに苦しんでいたのだ。静雄と由香の遺体が収容された病院には由香の恋人・矢部達也が駆けつけた。達也が悲しむ姿を見て、陽平は響総業に深い憎悪の炎を燃やす。だが、捜査一係の刑事が総出で当たった聞き込みでも、響総業の脅迫の事実は立証できなかった。
捜査の打ち切りを宣言する山岡に、陽平は若い感情をむき出しにして食い下がる。

数日後、捜査一係に匿名の封書が届いた。それは誰かのメモを写したような、日時と記号が記されただけのものだったが、響総業の違法な動きを伝えるものと思われた。メモを解読した一係のメンバーは、響総業の子会社が経営するカジノバーに踏み込み、賭博の現行犯で多数の組員を逮捕した。だが、響総業の幹部は全ての責任を子会社に押しつけ、山岡たちの追求を退ける。

またも響総業を取り逃がして落胆する陽平。そんな陽平を達也が訪れた。意気投合したふたりは、共通の趣味であるパソコンの話題で盛り上がる。陽平はかつてパソコン通信で何人ものガールフレンドと知り合ったが、自分が刑事であることを知ると誰もが去って行ってしまったことを告白する。

「だから今の彼女には自分が商社マンだって嘘をついているんだ」

恋人・由香を失った達也は、そんな陽平の寂しさに同情する。

やがて、また七曲署に響総業の動きを知らせる匿名の通報があった。前回と違うのは封書ではなく、七曲署が市民のために開いているホームページに送られて来たことだ。発信先と見られるインターネットカフェに陽平と涼子は急行するが、情報提供者の姿はすでになかった。一係のメンバーは通報に記された巨大ビルのアトリウムに張り込む。やがて響総業の幹部が現れた。そして遅れてやってきた取り引き相手と持ち物の交換をしようとする。だが、その時に響総業の幹部が行きつけの喫茶店のマスター・林らしき男を見かけて陽平が勝手な行動に出たため、響総業の幹部たちは張り込みを察知してしまう。

大高は取引相手を尾行して、その人物が衆議院議員・日下直明の第一秘書であることを掴む。日下直明は若手のやり手で、将来の総裁候補である。そんな人物がなぜ響総業と接触を図ったのか?。山岡は響総業が日下代議士を恐喝している可能性を指摘して、一係のメンバーに証拠探しを指令する。

数日後、警視庁で出世している同期の大倉から山岡に、本庁のしかるべきポストを約束する相談が入るが、山岡は辞退する。そしてこの本庁の動きに、日下の圧力を察知した山岡は、単身日下を訪問した。日下は暗に裏献金を受けている事実を認めた上でその必要性を説くが、山岡は取り合わず、響総業との関係の捜査続行を宣言する。

連続して“シノギ”を妨害された響総業では、何者かが自分たちのスケジュールを事務所のパソコンからハッキングしていると推理していた。組員の中田は自らもハッキングによって日下の裏献金情報を掴み日下サイドを恐喝していたのだ。中田は嘘のスケジュールをパソコンに入力して、ハッカーをワナにはめようと策略する。

同じ頃、七曲署では陽平が、響総業の動きを通報していた人物がハッカーである可能性に気づいていた。そしてその情報提供者こそが達也ではないかと考え、自宅に彼を訪れる。だが、その訪問中に再びインターネットカフェから七曲署へタレコミ情報が入り、陽平の達也への疑惑は霧散する。しかし、そのタレコミは中田が仕込んだ贋の情報だった。 現場に張り込んだ中田は、駆けつけた七曲署刑事たちの姿にハッカーの存在を確信した。そして現場からバイクで逃走するそのハッカーである情報提供者の姿を目撃した。 山岡は、空振りに終わったタレコミ情報が、響総業の仕掛けたワナであると断定して、情報提供者の保護を指令する。一方、中田はバイクのナンバーからハッカーの身元を割り出すことに成功する。

翌日、林が毒殺死体となって発見された。現場に残されていた小瓶は以前勤務していた大学病院から林が盗み出したものと判明。林は死んだ娘の復讐のために、響総業社長のコーヒーに毒をもっていたが気づかれてしまい反対に毒殺されてしまったのだ。証拠を掴みに捜査に出るが、やはり事実は立証できなかった。

その夜、陽平はパソコン通信の彼女に嘘をつき続けることに耐えられず、自分が刑事であることを告げるメールを送ってしまった。もの思いにふける陽平だったが、ふとしたきっかけからインターネットカフェのパソコンを外部から操作すれば、カフェに足を運ばなくても情報を送れることに気づく。再び達也を情報提供者と確信した陽平。彼の自宅を訪問すると、達也が男達に連れ去られるのを目撃する。陽平は後を追っていく。着いたのは港の倉庫街。七曲署に連絡をとって単身、達也を救いに行くも、捕らわれの身になってしまう。

七曲署のメンバーも万全の体制で倉庫街に急行、懸命に陽平たちを捜す。が、すでに連れ去られたあとだった。残されていた手掛かりをもとに、さらに追走。そこでは響総業の、かつてない大規模なコカイン取り引きが行われていた。壮絶な銃撃戦の末、山岡たちは響総業を一網打尽に逮捕した。しかし響総業専務はその銃撃戦の流れ弾に当たり絶命してしまう。

事件が解決して祝杯をあげる一係のメンバー。その中にあって、陽平だけは気持ちが晴れなかった。

「あの時の達也の固い表情。ひょっとしたら専務を射殺したのは達也だったのではないか?」

そんな陽平の秘めた気持ちを見透かすように、山岡は“真実を追求する勇気”を陽平に語った・・・。

陽平は達也の自宅を再び訪ねた。

「パソコンの彼女とはもうダメだと思う。でもこれで良かったんだ。彼女に嘘をついている間、オレはズッと苦しかったんだ・・・」

陽平は刑事としてではなく、ひとりの友達として、達也に嘘をつき続けることの苦しさを訴えた。やがて達也は拳銃のありかを明かした。響総業に憎しみを抱いていた達也。専務に追い詰められ、落ちていた拳銃を手にした達也は、引き金を引いてしまったのだ。
陽平の説得は達也の心に届いたのだ。
その夜、陽平のパソコンに“彼女”から、交際を続けるメールが届いた。

翌朝。山岡の元へ、日下が国会議員の辞職願いを出したことを告げに来る。真実を追求することの強さと再起を誓って日下は去っていった。見送る山岡の顔に微笑みが浮かぶ。